就労継続支援B型の運営・工賃向上コラム

就労継続支援B型の利用者募集がうまくいかない原因は?

就労継続支援B型の利用者募集がうまくいかない原因は?

2026年10月25日 19:51

就労継続支援B型事業所を運営する経営者にとって、利用者募集は大きな経営課題の一つではないでしょうか。

「ホームページを作ったけれど、問い合わせがない」

「ポータルサイトに掲載しているのに、見学につながらない」

「利用者募集の広告を出しても、思うように応募が増えない」

こうした悩みを抱えている事業所も少なくないと思います。

京都市で就労継続支援B型事業所「デジタル工房幸福堂」を運営する私たちも、これまでさまざまな方法で利用者募集に取り組んできました。

特に最近までは、LITALICO仕事ナビやかべなしといったポータルサイトを中心に募集を行っていました。

しかし、今回、公式ホームページを全面的にリニューアルしたことで、改めて気づいたことがあります。

それは、利用者募集で重要なのは、単に事業所を知ってもらうことではなく、「なぜ、その事業所を選ぶのか」という理由を伝えることです。

実際、幸福堂ではホームページのリニューアル後、公式サイト経由の利用者応募が増えています。

今回は、これまでの経験を踏まえ、B型事業所の利用者募集で見直したい3つのポイントについてお話しします。

1.ターゲットとなる利用者を具体的に考えているか?

利用者募集で最初に考えたいのは、どのような方に事業所を利用していただきたいのかということです。

例えば、募集ページに次のように書かれていたらどうでしょうか。

「パソコン作業ができます」

「軽作業があります」

「未経験者歓迎」

もちろん、これらも必要な情報です。

しかし、これだけでは、利用希望者が自分の働いている姿を具体的に想像することは難しいかもしれません。

幸福堂では、ターゲットとなる利用者像をできるだけ具体的に考えています。

例えば、

「自分のパソコンでPhotoshopを使い、在宅でデザインの仕事をしたい人」

「自分のタブレットを使ってイラストを描き、在宅で働きたい人」

「美容やマッサージが好きで、セラピストとして収入を得たいけれど、一般企業で働くことには不安がある人」

といった方々です。

ここまで具体的に考えると、どのような仕事内容を用意し、何を伝えれば興味を持っていただけるのかが見えてきます。

例えば「パソコン作業ができます」と案内するよりも、「在宅でオリジナルTシャツのデザイン制作に取り組めます」と伝えるほうが、デザインに興味のある方には仕事内容が伝わりやすくなります。

利用者募集は、広告を出すところから始まるのではありません。

その仕事をやりたいのは、どんな人なのか。

そこを具体的に考えることが出発点だと思います。

2.工賃や仕事内容だけで、他の事業所と比較されていないか?

これまで幸福堂では、LITALICO仕事ナビやかべなしなどのポータルサイトを積極的に活用してきました。

ポータルサイトには、B型事業所を探している方が集まっています。

そのため、利用希望者に事業所を知っていただくうえで、とても有効な媒体だと思います。

しかし、長く利用してきた中で、感じていたこともあります。

それは、どうしても他の事業所との条件競争になりやすいということです。

例えば、

  • 工賃はいくらか

  • 在宅利用はできるか

  • 昼食は無料か

  • 交通費は支給されるか

  • 駅から近いか

  • どのような仕事があるか

これらの条件は、利用希望者にとって重要な判断材料です。

幸福堂でも、平均工賃や仕事内容、在宅利用、交通費支給、無料の昼食などを積極的に案内しています。

しかし、こうした条件だけでは、事業所の本当の魅力を十分に伝えられないのではないかと考えるようになりました。

なぜなら、似たような条件を提供する事業所があれば、利用希望者は数字や待遇を中心に比較することになるからです。

では、工賃や仕事内容以外に、何を伝えるべきなのでしょうか。

ホームページのリニューアルで気づいたこと

今回、幸福堂の公式ホームページを全面的に見直しました。

特に力を入れたのが、「幸福堂とは」というページです。

これまで十分に伝えられていなかった、創業の経緯や理念、代表者の経験、事業所として大切にしている考え方などを、改めて丁寧に掲載しました。

幸福堂は、2020年1月に福祉未経験からスタートしたB型事業所です。

私たちがなぜ障害福祉の仕事を始めたのか。

なぜ、デザインやオリジナルTシャツ制作などの仕事に取り組んできたのか。

なぜ、利用者の工賃向上を重視しているのか。

こうした背景を伝えることで、仕事内容や工賃だけでは分からない、幸福堂という事業所の考え方を理解していただけるようにしました。

私たちが大切にしているのは、

「障害があっても、技術で稼げる未来をつくる」

という考え方です。

単に作業を用意するのではなく、利用者が技術を身につけ、その技術を活かして収入を得られる事業を育てていく。

そのために、オリジナルTシャツ制作やリラクゼーション事業にも取り組んできました。

こうした話は、工賃や仕事内容を並べるだけでは伝わりません。

しかし、公式ホームページであれば、写真や文章、これまでの実績を通じて、事業所の考え方を詳しく伝えることができます。

利用者は条件だけで事業所を選ぶわけではない

B型事業所を選ぶ方の中には、仕事内容や工賃を最も重視する方もいるでしょう。

一方で、

「どんな人が運営しているのだろう」

「自分のことを理解してもらえるだろうか」

「安心して利用できる事業所だろうか」

と考える方もいるはずです。

特に、初めてB型事業所を利用する方や、そのご家族にとっては、運営者の考え方を知ることも大切な判断材料になります。

今回のホームページリニューアル後、幸福堂では公式サイト経由の応募が増えています。

もちろん、応募が増えた理由を一つに限定することはできません。

しかし、今回の取り組みを通じて、私は改めて感じました。

利用者募集では、仕事内容や工賃といった条件だけでなく、事業所の創業の経緯や理念、運営者の考え方まで伝えることが大切なのだと。

他の事業所と比較されるだけでなく、幸福堂そのものを理解していただき、選んでいただく。

そのために、公式ホームページは重要な役割を担っていると考えています。

3.ホームページを見てもらう仕組みができているか?

ここまで、公式ホームページで事業所の魅力を伝える重要性についてお話ししました。

しかし、もう一つ忘れてはいけないことがあります。

それは、どれだけ魅力的なホームページを作っても、誰にも見てもらえなければ応募にはつながらないということです。

ホームページを公開することと、利用希望者がホームページを訪問することは別です。

そこで必要になるのが、WEBマーケティングです。

幸福堂が取り組んでいるWEB集客

幸福堂では、一つの媒体だけに頼るのではなく、さまざまな経路から公式ホームページを見つけていただく取り組みを行っています。

① SNSからの集客

TikTokやInstagramなどで情報を発信し、幸福堂の仕事内容や取り組みを知っていただきます。

SNSは、まだB型事業所を具体的に探していない方に知っていただくきっかけにもなります。

② ポータルサイトからの集客

LITALICO仕事ナビやかべなしなどで幸福堂を見つけていただき、さらに詳しく知りたい方に公式ホームページを見ていただきます。

ポータルサイトは競合と比較されやすい一方、利用希望者と出会うための有効な入口でもあります。

③ Google検索からの集客(SEO)

例えば、

「京都 就労継続支援B型」

「就労継続支援B型 在宅」

「京都 B型 デザイン」

といった言葉で検索する方がいます。

そのような方に幸福堂を見つけていただけるように、ホームページの内容やページ構成を整えています。

④ Googleマップからの集客(MEO)

地域でB型事業所を探している方に向けて、Googleビジネスプロフィールの情報を充実させています。

事業所の所在地、仕事内容、写真、ホームページへのリンクなどを正確に掲載することが大切です。

⑤ GoogleやChatGPTなどのAI経由の集客(AIO・LLMO)

最近では、従来の検索結果だけでなく、GoogleのAIによる回答やChatGPTなどを使って情報を探す方もいます。

そこで幸福堂では、AIにも事業所の特徴が正確に理解されるよう、公式ホームページに具体的で分かりやすい情報を掲載しています。

例えば、仕事内容、在宅利用、工賃、利用条件、所在地、よくある質問などを整理することです。

こうした取り組みは、一般にAIOやLLMOなどと呼ばれています。

ただし、特定の対策を行えば必ずAIの回答に掲載されるわけではありません。

大切なのは、検索エンジンやAIだけでなく、実際にホームページを見る利用希望者にとっても分かりやすく、信頼できる情報を発信することだと考えています。

⑥ Google広告からの集客

SEOやAI検索での表示だけでなく、Google広告も活用しています。

利用希望者が実際に検索する言葉に合わせて広告を配信し、公式ホームページへ誘導する方法です。

広告には費用がかかりますが、適切なキーワードや広告文、リンク先のページを設定することで、利用者募集につなげることを目指しています。

WEB集客の目的は、アクセス数を増やすことではない

ここで重要なのは、SEO・MEO・AIO・LLMO・WEB広告を実施すること自体が目的ではないということです。

ホームページのアクセス数が増えても、見学や利用者応募につながらなければ、募集の成果は十分とはいえません。

幸福堂では、さまざまな経路から訪問していただいた方に、まず仕事内容や工賃、働き方などを知っていただきます。

そして、創業の経緯や理念、これまでの実績を通じて、幸福堂がどのような事業所なのかを理解していただく。

そのうえで、

「ここなら自分の好きな仕事ができるかもしれない」

「この事業所なら安心して利用できそうだ」

「一度見学してみたい」

と思っていただくことが大切です。

見つけてもらう。

興味を持ってもらう。

事業所を理解し、信頼してもらう。

そして、見学や利用者応募につなげる。

この一連の流れをつくることが、利用者募集におけるWEBマーケティングだと考えています。

4.ポータルサイトと公式ホームページは、どちらが重要なのか?

私は、どちらか一方を選ぶ必要はないと考えています。

ポータルサイトには、すでにB型事業所を探している方が集まっています。

SNSには、まだ具体的に事業所を探していなくても、仕事内容や働き方に興味を持つ方がいます。

Google検索やAIサービスでは、本人やご家族が知りたい情報を調べています。

それぞれ、利用希望者との接点として重要な役割があります。

一方、公式ホームページは、幸福堂という事業所について、詳しく知っていただく場所です。

仕事内容や工賃を比較するだけでなく、創業の経緯、理念、運営者の考え方、実績などを知っていただく。

つまり、ポータルサイトやSNS、検索エンジンなどは事業所を知ってもらう入口であり、公式ホームページは事業所を深く理解してもらう場所なのです。

そのため、ポータルサイトで利用者募集を行っている事業所こそ、公式ホームページの内容を見直してみる価値があると思います。

5.利用者募集は、広告を出す前から始まっている

もう一つ、幸福堂が大切にしていることがあります。

それは、利用者募集の成果は、広告の出し方だけでは決まらないということです。

例えば、デザインの仕事をしたい人を募集するのであれば、実際にデザインの仕事があることが重要です。

在宅で働きたい人を募集するのであれば、在宅で取り組める仕事内容と、必要な支援体制が求められます。

リラクゼーションの仕事をしたい人を募集するのであれば、施術技術を学び、実際の仕事に取り組める環境が必要です。

広告で魅力的なことを書いても、実際の仕事内容や働き方が伴っていなければ、利用希望者の期待には応えられません。

幸福堂では、新しい生産活動を検討するときに、まず「その仕事をやりたい利用者は、具体的にどんな人なのか」を考えています。

そのうえで、一般消費者の需要があり、事業として継続できる仕事を選びます。

利用者が魅力を感じる仕事をつくること。

その仕事を希望する方に、適切な情報を届けること。

そして、実際に働いてみたいと思っていただくこと。

利用者募集とは、単に広告を出して人を集めることではなく、利用者に選ばれる事業所をつくることから始まっているのだと思います。

まとめ|利用者を集めるだけでなく、選ばれる事業所になる

就労継続支援B型の利用者募集・集客がうまくいかないとき、広告費や掲載媒体を見直すことも必要です。

しかし、その前に確認したいことがあります。

1.ターゲットとなる利用者は明確になっているか?

どのような仕事を、どのような働き方で希望する人に来ていただきたいのか。

2.他の事業所ではなく、自分たちの事業所を選ぶ理由が伝わっているか?

仕事内容や工賃だけでなく、創業の経緯や理念、運営者の考え方、実績などを伝えられているか。

3.利用希望者にホームページを見てもらい、応募につなげる仕組みがあるか?

SNS、ポータルサイト、Google検索、Googleマップ、AI検索、WEB広告などを活用し、公式ホームページへの訪問から見学・応募までつなげられているか。

この3つです。

今回、幸福堂では公式ホームページを全面的にリニューアルしました。

その過程で、私は改めて、事業所の創業の経緯や理念を丁寧に伝えることの大切さに気づきました。

そして、公式ホームページ経由の利用者応募が増えたことは、これまでのWEBマーケティングを見直すうえでも、大きな経験になりました。

ポータルサイトで条件を比較してもらうことも大切です。

しかし、それだけではなく、「この事業所で働いてみたい」と思っていただける理由を伝えることが、これからの利用者募集では重要になると考えています。

ホームページを作るだけでは、人は集まりません。

広告を出すだけでも、選ばれるとは限りません。

事業所の魅力をつくり、その魅力を正しく伝え、必要としている人に届けること。

それが、私たち幸福堂の考える、就労継続支援B型事業所の利用者募集・WEBマーケティングのあり方です。


デジタル工房幸福堂について

京都市の就労継続支援B型事業所「デジタル工房幸福堂」では、デザイン・イラスト・オリジナルTシャツ制作、リラクゼーションなど、実際のお客様につながる仕事づくりに取り組んでいます。

在宅でのデザイン・イラスト制作にも対応し、利用者一人ひとりの希望や体調に合わせた働き方を支援しています。

幸福堂の創業の経緯や理念、これまでの取り組みについては、公式ホームページでご紹介しています。

幸福堂とは
https://koufukudo.com/About/

仕事内容・利用者募集について
デジタル工房幸福堂
https://koufukudo.com/b-type/
リラク幸福堂
https://koufukudo.com/b-type-relax/